在学中は「建築の前と後のデザイン」に興味を持ち、「とよさと快蔵プロジェクト」代表として古民家改修を通じたまちづくりに関わっていた中野さん。代表引退後は、近江楽座学生委員会としても活動されていました。卒業後は、信楽で窯元とデザイナーの商品開発「信楽ライフ・セラミックス展」に携わられ、その経験から、「くらしとデザイン」というテーマを見つけ、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)に勤務することになったそうです。
今、取り組んでいること
○○+クリエイティブ
「+クリエイティブ」…これは、既成概念にとらわれないアイデアや工夫によって、新しい価値観を生み出し、身の回りの社会的問題を解決していく手法のこと。中野さんはこの視点を用いて、神戸で、教育や高齢者福祉、食、子育て、防災、観光などの様々なテーマに対して、「○○+クリエイティブ」のように、社会的な課題を解決するためのプロジェクトを行っています。
例えば、「教育+クリエイティブ」というテーマで、子どもたちとクリエイターたちが一緒になって、子どものまちづくりを行うワークショッププログラム「ちびっこうべ」。「観光+クリエイティブ」というテーマで、神戸でのデートの思い出を集め、デートの街としての神戸を発信する「date.KOBE」などのプロジェクトを実施しています。
また、行政や企業の社会的課題をテーマに、社会人や学生、クリエイターなどの市民と一緒にゼミ形式でディスカッションを行い、課題解決のための企画提案を行うプログラム「+クリエイティブゼミ」などの、課題の本質を発見し、それを市民自身が自分事化し、解決していくプロセスをプログラム化した事業も行っています。
地域活動を行う学生のみなさんへ
表面的なものではなく、本質をみること。
「実際に地域に入って生活したり、生活している方にしっかりとヒアリングを行ったりすることで、何が本当に課題となっているかが見えてきます。そして、それを解決するためのしくみは1人で完結することはできません。学生、子ども、市民、クリエイターなど、様々な人々との関わりを大切にし、巻き込んでいくことで、しくみが「みんなのもの」になり、上手く回っていくようになるのではないでしょうか。そしてみんなのものにするために重要なのが、『+クリエイティブ』の視点で、楽しさや感動など共感できることを生み出すことで、より良いしくみへとなっていきます」
(2014年11月29日(土)近江楽座10周年記念企画「学生地域活動交流キャンプ in 琵琶湖」におけるトークセッション[記:近江楽座学生委員会 人間文化学部 加藤 彩香]より再編・追加インタビュー)
中野 優さん
1985年京都生まれ。2010年、滋賀県立大学大学院環境科学研究科環境計画学専攻修了。大学在学中「とよさと快蔵プロジェクト」代表として古民家改修を通したまちづくりに関わりながら、近江楽座学生委員としても活動。書籍「近江楽座のススメ 学生力で地域が変わる/4年間の軌跡(近江楽座学生委員会 編著)」では、執筆・本文デザインを担当。卒業後は信楽陶芸トリエンナーレ2010「しがらきまちなか芸術祭」にて、窯元とデザイナーの商品開発「信楽ライフ・セラミックス」に携わる。2011年よりデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)に勤務。+クリエイティブの視点で社会課題解決を目指し、子どもの創造教育プログラム「ちびっこうべ」や行政、民間、地域などのコンサルティング事業を行う。
中野さんが執筆・本文デザインを担当した「近江楽座のススメ」
中野さんが大学院生の時に近江楽座学生委員会の一員として制作に携わった書籍「近江楽座のススメ 学生力で地域が変わる/4年間の軌跡(近江楽座学生委員会 編著)」。地域に関わる学生が学ぶべきノウハウがしっかり詰まっています。笑いあり、涙あり、読み応えたっぷり充実の1冊。